どうやったら楽に生きられるの?!

私は猫のキミ。ウチのおねぇちゃんは日々考えている。「どうやったら楽に生きられるの?!」と

鬼は外👹からじゃないんですニャン。鬼は内からなんですニャン

今日は
はてなブログさんのお題
(もう終わっているけどw)

“鬼は外👹”

を題材にして
ちょっと怖い話を😸



以下のお話は
おねぇちゃんの愛猫であります
わたくし、キミ😺の
妄想でごさいますw



タイトルは
「鬼ヶ村の鬼面👹」



鬼ヶ村では
100年に1度
鬼が出る



といっても
鬼の姿は見えない



でも
鬼に乗り移られた人は
鬼の面を
被らなきゃいけない



それは
鬼ヶ村の暗黙のルール



家の外に出ると
どこで鬼に乗り移られるか
分からない



だから
鬼が出る時期は

極力
家にいる



それでも
出かけなきゃいけない時は
完全防備


なのに……



「どうして?
 まさか、我が子が⁉」


鬼に
乗り移られた我が子を見て
発狂する母親



「家から
 一歩も出さなかったのに
 一体
 どこで鬼に乗り移られたの?」



母親は悲観にくれながら
まだ5才の娘に
鬼の面を被せる



女の子は
顔に張りつく面を
不快だと泣きわめく



それでも母親は
鬼に乗り移られたら
鬼のお面を被るのはマナーだと
きつく叱る



しかし
数日後

その母親自身も
鬼の面を被ることに



やがて村は
鬼の面を被った者ばかりになった



みんな鬼になった



みんな鬼になったのに
鬼の面は外せない



だって鬼に乗り移られたら
鬼の面を被るのは
マナーだから



鬼ヶ村の
鬼の面をつけた
10才の男の子が
母親に問うた



「僕に乗り移った鬼って
 いったい
 どこにいるの?
 僕には
 全然わからないんだけど」



母親は

「わからなくて
 普通なの

 唯一
 体感できるのは
 鬼に乗り移られる時

 熱が出たり
 鼻水が出たり
 体の節々が痛くなったり
 喉が痛くなったりしたでしょう

 それが
 鬼に乗り移られた瞬間なの」



「……それって
 単に
 風邪をひいただけじゃないの?
 風邪と何が違うの?」



母親は
少し苛立ちながら答える

「鬼が乗り移る時は
 風邪とよく似た症状が出るの!
 鬼って
 そう言うものなのよ!」



理不尽に怒られた男の子は
鬼の面の下で
ムッとしながらも
はたと気づく



あ!
そうか!



「僕、鬼の正体がわかったよ!」



男の子は
嬉々と母親に説明する



「鬼って本当は
 最初から
 僕の中にいるんだよ!

 外側から
 来るものじゃなくて
 最初から
 僕の内側にいるんだ!


 だから
 どんなに防いでも
 ダメだったんだよ

 だって
 鬼は
 最初から
 中にいるんだもの

 中にいるから
 熱を出したり
 鼻水を出したり
 身体の節々を痛くしたり
 喉を腫らせたり
 いろんな悪さが
 簡単にできるんだよ」



「そんなわけないでしょ
 だったら
 生まれた時から
 自分の中に
 鬼がいることになるじゃないの」

母親は
”やっぱり子供ね”
と言わんばかりに
呆れ返る



男の子は
「そうだよ」
と迷いなく肯定した

「だから、皆
 赤ちゃんの時から
 風邪を引くんだよ」



「風邪は風邪!
 鬼はまた別なの」

再び
母親の声が尖り始める



男の子は
動じず聞き返した

「そうかなぁ
 だって
 鬼が外から来るなら
 どうして
 外から攻撃してこないの?

 たとえば
 外からいきなり
 切りつけてくるとか
 殴ってくるとか

 鬼に怪我を負わされた人って
 聞いたことないんだけど……あっ!」



男の子は
思わず声を上げる



「あ! そうか!
 鬼って
 もしかして
 自分の中にいるものじゃなくて
 そもそも
 自分の一部だったりして」



男の子は
手を叩き
得意気に続けた

「そうだよ!
 だから僕たちの
 身体や心が弱った時に
 その部分が
 鬼化するんだよ‼
 ただ
 それだけのことなんだよ」



「ちょ、ちょっと!
 どこへ行くの?」



「もちろん
 皆に教えに行くんだよ!

 皆
 喜ぶよ!

 鬼の正体がわかれば

 自分の中の鬼に
 もう怯えなくていいし

 そもそも
 鬼の面なんか被らなくても
 素顔で十分じゃん

 だって
 僕たち自身が
 鬼なんだから」



男の子は
笑いながら
駆けって行く



母親の視界から
あっという間に
いなくなった



3日後



鬼ヶ村の沼で
子供の遺体が上がった



葬儀の帰り道

村の者たちは
口々に
亡くなった10才の男の子を称える



「村長さんが
 直々に弔辞を読んで下さるなんて
 本当にすごい子だったんだねぇ」



「でも、お義母さん
 あの話、本当だと思います?
 10才の子が
 薬の処方を
 村長さんに提案していたなんて」



「まぁ、私も
 最初は信じられなかったけど
 でも、村長さんの話じゃ
 亡くなった子は薬草に詳しかったとか

 それなら
 人々に乗り移っている鬼が
 悪さをしないような
 薬を作りたいって夢を持っても
 おかしくはないわぁね」


恰幅の良い
喪服姿の姑は
鬼面の下からでも
張りのある声を出す



一方
ひょろっとした嫁は
鬼面に跳ね返されそうな
弱々しい声で
「でも……」
と、俯き加減に喋る

「その子が残した処方を元に
 急いで薬を作るって
 村長さんは仰っていましたけど
 所詮、子供が作ったものですよね」



「何、言っているの
 村長さんも
 ちゃんと調べて
 安全なものを
 私たちに提供して下さるわよ

 それで
 皆が
 乗り移った鬼に
 怯えなくてすむ日が来たら
 亡くなった子も
 浮かばれるってもんだわ」



「……そうですよね
 薬草に詳しい大人は
 たくさんいるんだから
 きっと良いものが
 できあがりますよね」



「まったく
 どうして
 そんなすごい子が
 早死してしまうのかねぇ」

姑は
鬼面の頬に手を当て
首を傾げる


嫁が
確認するように訊いた

「たしか、村長さん宅から
 自宅へ帰る途中だったんですよね?
 その子が沼に落ちたのは」



「そうそう
 聞いた話じゃあ
 沼がある方の道は
 帰宅するには
 ずいぶん遠回りだったらしいよ」



「そう……なんですか?」



「寄り道して
 遊んで帰ろうとでも
 思ったのかねぇ

 変なところで
 子供っぽさが出たばっかりに
 まったく、気の毒にねぇ」



嫁がぼそりと呟く

「鬼でも
 出たんですかね‥‥‥」


「え? 何て?」



「いえ、何でも」



〜終〜



今日もひとつ
 誰かの心に灯をともせたら
 嬉しいです♡

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